#自粛警察 の大元は #新型インフルエンザ等対策特別措置法 です。
「要請」とすることで、行政訴訟のリスクを回避しつつ、「同調圧力」を利用して実質的には無制限に強制する、日本特有の社会構造を利用した法律です。
「言うこと聞かないと名前晒すよ」(自粛警察が来るよ)です。
— eijin-sola (@EijinSola) May 2, 2020
「罰則」「強制力」のない「新型インフルエンザ等対策特別措置法」と「自粛」のメカニズム
「自粛警察」(私刑)は程度の差こそあれ、日本社会では平時からどこにでも見られる現象です。
そもそもが政府主導による「自粛」とは、個々人の「規範意識」(正義)という、実体のない基準に基づく国家レベルでの「同調圧力」です。そして、その「同調圧力」を前提とした法律が、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」です。いわゆる「空気読めよ」を基準とした、有形無形の「自粛警察」(私刑)への恐怖心に強制力を期待した法律であるといえます。
「罰則」や「強制力」の明文化された規定のないこの法律では、副次的な効果として、基準も限度もなく個々のもしくは一定の集団の共通幻想に基づいて、各種の「私刑」を誘発します。そのため、国民は「私刑」に対する恐怖感から、さらに強く自粛していきます。
誰も責任を取らない日本社会の特殊性
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は、政府に権力が集中することへのアレルギーのあった当時の民主党政権が、執行権限者を「首相」ではなく「知事」とし、執行形態を「命令」ではなく「要請」としました。ここには官僚による「行政訴訟」リスク回避の思惑も反映されています。
さらに、施行にあたり、政府が本法18条1項に規定される「基本的対処方針」で知事に与えられたはずの執行権限を「国に協議の上」としたため、さらに責任と権限の所在が不明確な法律になってしまいました。
また、政府の説明に頻繁に登場する「専門家会議」。確かに医療の専門家ではありますが、技術的な専門知識を有しているだけで、国民に選ばれた「政治家」ではありません。もちろん、専門家の知見は参考にすべきですが、政府が彼らに期待しているもう一つの役割として、責任分散の効果ががあります。メディアの質問に対する政府の答弁でも不自然なくらい「専門家会議のご意見を伺って・・・。」のフレーズが出てきます。これから出てくる「判断」は私ではなく「専門家会議」の判断によるものだと言わんばかりです。
かくして、各種「要請」はできても「命令」はできない(しない)法体系を前提とした、「政策方針」(自粛内容)は決めても「執行」はしない、政府。「執行」はしても「政策方針」(自粛内容)は決められない、自治体。国家レベルで意味不明、無責任な「システム」が出来上がりました。
そして、驚くべきことに、今までは、この「システム」が効果的に機能し、ロックダウンも無しで、結果的には諸外国の中でも死者が少ない状況を今のところ保っており、暴動も、極端な医療崩壊も起こしていません。
しかし、これからの経済の回復期には、リスクを伴う政治判断やその為の政治的な強制力も今まで以上に必要とされます。早急に、権限と責任を明確化した法整備と共に、政府内に首相のリーダシップを補佐する直轄のタスクフォースを設置すべきです。各種の専門的知見を取りまとめるだけでなく、適切に総理に助言できる組織が必要です。ここ半年程度の舵取りが、今後の日本国の先行きを左右することになることは間違いありません。いろいろ批判もありますが、安倍首相の政治決断が今こそ期待されます。